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マラソンランナーの持久力をつける食事と日本人・欧米人ランナーの食事の違い

紀元前5世紀のペルシア戦争の「マラソンの戦い」において、ギリシャ軍の勝利を知らせるために、一人の青年が休まずに走り続けたという伝説に由来するのがマラソン競技。近代オリンピック種目に取り入れられ、1924年のオリンピック・パリ大会から、42.195kmという距離も正式に定められました。
マラソンランナーは必ずしも体格にめぐまれていません。また、日本選手が伝統的にマラソンを得意とするのは、エネルギー源である食事が大きく関係しているといわれます。長距離走はスタミナが要求されるスポーツです。スタミナをつけるというと、ふつう肉・魚などのタンパク質を摂取することと思われていますが、これは大きな誤解。むしろ炭水化物を摂取して体内に最大限に貯蔵することがポイントのようです。

マラソンと短距離走では必要となる食事に違いがある

スポーツ生理学というものが未発達だった初期のオリンピックのマラソン競技のエピソード。42.195kmを走りぬいた欧米の選手たちの多くが、ゴールに達したとたんバタバタと倒れるのに、日本の選手はさほど疲労した様子を見せず、平然としているので不思議がられました。いろいろと調べたところ、どうやら食事が関係しているらしいことがわかりました。肉類の多い欧米食とちがって、日本の選手たちの食事は米や梅干といった質素なもの。しかし、長距離走のエネルギーとして炭水化物がきわめて重要だったのです。

炭水化物・脂肪・タンパク質を3大栄養素といいます。このうち筋肉運動のエネルギーとして使われるのは炭水化物と脂肪です。米、麦、イモ類、砂糖などの炭水化物は、体内でグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯蔵されます。スポーツには短時間ながら筋肉をフル活動させる無酸素運動と、持久力をになう有酸素運動があります。100m走、200m走、400m走のような短距離の走は無酸素運動で、そのエネルギーにはグリコーゲンが使われます。しかし、肝臓や筋肉に貯蔵できるグリコーゲンにはかぎりがあるので、中・長距離走のような有酸素運動では、体内の脂肪が燃焼してエネルギーを補給します。実はこの脂肪の燃焼にもグリコーゲンが必要です。したがって、短距離走ではあまり影響しませんが、マラソンのような長距離走となるとグリコーゲンの貯蔵不足は記録を大きく左右することになります。

400m走、中・長距離走、マラソンの世界記録の平均スピードを以下に示します。およそ距離1,500mを境に、短・中距離走と長距離走では平均スピードは急速に落ちています。1,500m走がきわめて過酷なレースといわれるのは、瞬発力と持久力の双方が必要とされるからです。

マラソンランナーに必要なエネルギー栄養素は炭水化物

ビーフステーキやトンカツ、焼肉など、日本人にとってはタンパク質がスタミナ食といわれますが、これは食糧事情が悪かった時代の名残です。肉類を食事の中心とする欧米では、逆にスタミナ補給とは炭水化物の摂取を意味します。とくにマラソンのような長距離走でスタミナ切れを防ぐために、欧米ではグリコーゲン・ローディング(カーボ・ローディング)という食事法がスポーツに取り入れられて発達しました。レースの3日前あたりから肉類中心の食事から、炭水化物を中心とした食事に切り替えて、体内にグリコーゲンを十分に貯蔵しておくという考え方に基づくものです。ガソリン自動車にたとえるなら脂肪はガソリン、グリコーゲンはバッテリの電力。バッテリがあがったら、いくらガソリンが満タンでも走ることはできなくなります。

日本において、昔から遠足や旅行の携帯食であるおにぎりは、グリコーゲンを補給するうえで格好の食べ物だったのです。かといって炭水化物を取りすぎて、運動もしないでいると、炭水化物は脂肪に変化して、体内に蓄積されて肥満の原因になります。結局はバランスのよい食事と適度な運動が、健康増進のための基本ということになります。栄養学的にもスポーツ生理学的にも、伝統的な和食はもっと見直されてよいでしょう。

マラソンランナーは標高3,000m前後での高地トレーニングをメニューに取り入れたりします。酸素の薄い環境で持久力を養うと、平地での血液の酸素運搬量が増して記録が伸びるからです。かぎられた体内のグリコーゲンを効率よく利用する省エネ的なトレーニング法です。

最大運動持続時間が2分のとき、無酸素運動と有酸素運動の割合はほぼ同じになり、2分を超えると有酸素運動がメインになる。最大運動持続時間2分間というのは、たとえば100mを15~20秒のペースで全力疾走したとき、陸上トラック2周から1.5周の運動量。

TCA回路は脂肪を燃焼させてエネルギーを生む体内メカニズム。回路を円滑に機能させるためには、各種ビタミンやアミノ酸も必要となる。

エンジンとモータを組み合わせたHEVの省エネドライブ

自動車の駆動システムにも持久力と瞬発力が求められます。長距離の持続的な高速ドライブに有利なガソリンエンジンと、瞬発力が要求されるスタート時などに有利な電気モータを組み合わせて省エネ化を図ったのがHEV(ハイブリッド車)です。

HEVの駆動モータは搭載したメインバッテリの直流を高電圧に昇圧してから、交流に変換してモータを駆動します。この直流―交流変換を行うのがインバータです。一般にインバータには6個の半導体素子の高速スイッチングにより3相交流を得ています。半導体素子としてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などのパワー素子が使われるのは、高電圧ほどパワー素子に流れる電流を小さくすることができ、インバータやモータの小型化に有利だからです。高電圧回路であるインバータ部と、IGBTを制御する低電圧回路を結ぶとともに、電気的絶縁を図るのがIGBTトランス(IGBT用ゲートドライブトランス)の役割です。

IGBT/FETトランス

インバータなどの高電圧回路とIGBTなどのパワー素子を制御する低電圧回路を電気的に絶縁するトランス。IGBTなどのパワー素子のゲート電圧がばらつくと、素子間で信頼性が不均一になるためゲート電圧の均等化が必要となり、トランスにもすぐれた性能が求められます。TDKは自動巻線技術などの新構造の採用により、完全自動化か高結合化(低リーケージ) を両立し、安定した出力が可能な絶縁トランスを実現しました。

TDKは磁性技術で世界をリードする総合電子部品メーカーです

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