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デジタル家電とは?デジタル化が進むデジタル家電のバックボーン
社会のデジタル化現象はとどまるところを知らず、2004年もその影響が広く波及する年となりそうだ。なかでも「家電」にスポットライトが当たる。パソコンに代表されるコンピュータ関連機器ではなく、家庭用の電化製品が次のデジタル化のターゲットになる。
これまでも家庭へのデジタル機器の浸透は、パソコンやインターネット関連製品、デジタルカメラ、携帯電話など、目を見張るほどの勢いを見せてきた。この流れがさらに加速し、ついにお茶の間や台所までデジタル化の波が及ぶことになりそうな雲行きである。
2003年後半にブレイクしたHDD内蔵DVDレコーダは、地上デジタル放送の開始を追い風に、2004年の家庭デジタル化の中心的な役割を果たしそうだ。液晶テレビやプラズマ・テレビなどの薄型デジタルディスプレイ装置からも目が離せない。これらのデジタル機器はすでに家庭に入り込んだインターネットと融合して新しい家電製品の姿を垣間見せる存在となるだろう。
デジタル家電のデジタル機器ギガヘルツ化
パソコンの心臓部であるCPUチップでは動作周波数がギガヘルツに達してからすでに久しいが、2004年にはさまざまな場面で「ギガ」という言葉を耳にすることになる。特に、これから急激な発展が期待されるデジタル家電は、最初からギガヘルツの洗礼を受けることになる。デジタル家電間やインターネットとを結ぶ無線LANはギガヘルツ帯を利用するし、有線LANはすでにギガビット・イーサーネットの世界だ。HDD内蔵DVDレコーダなどのビデオ機器とテレビを結ぶDVI(Digital Video Interface)は、5ギガビット/秒と超高速な伝送速度を実現するデジタル・ハイビジョン時代のビデオ接続インタフェース、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)へと発展するだろう。気が付かないうちにお茶の間は"ギガの世界"に変貌しているかもしれない。
デジタル家電のデジタル機器ではアナログが重要に
「ギガ」の領域に踏み込んだデジタル家電では、逆に "アナログの世界"の重要度が増してくる。ギガヘルツやギガビットのレベルでは、信号変化の間隔が極めて短く、しかも変化が頻繁で、電磁ノイズの影響を受けやすくなる。また、デジタル家電では非常に多くの機能が搭載されるため、同じデジタル家電の中から出た電磁ノイズによって他の部分が影響を受けることもあり得る。今後、家庭に持ち込まれるギガ家電こそ電磁ノイズに敏感なのだ。これまでのようなノイズ対策を講じただけでは不十分だ。それぞれの家庭内の状況までは完全には想定できない。「最近、テレビの画面がちょっと変」「電話中にプチプチ、音が入ったり、途切れたりする」「パソコンのファイル書き込みに失敗してしまった」。こんな"事件"が起こる可能性だってある。家電製品の使い勝手を改善し、世の中を便利にするために導入されたデジタル技術。それが進化のスピードを上げるにつれて、今まで隠されていた副作用が露わになる。この対策のためにアナログ技術の重要性がにわかにクローズアップされる。
デジタル家電でも重要なノイズ対策
そこでTDKの出番が来る。フェライトを中核とするさまざまなノイズ対策部品はお手の物だ。電磁ノイズの発生を防ぐ、ノイズから家電製品を守る。これらの対策は一般にEMC(Electromagnetic Compatibility)と呼ばれる。このEMC対策部品の分野ではTDKはトップ・メーカー。
われわれが目にするところからいけばまず、家電製品の電源コードや接続コードに取り付けられるフェライトコアがある。見えないところでは電源用L/Cノイズ・フィルタや各種接続コネクタ内蔵用のフェライトコア、電源そのものにもフェライトを使ったトランスやインダクタ(コイル)が多用されている。これらに加えてUSB2.0やIEEE1394のような高速シリアル・インタフェースの差動信号からノイズを除去して伝送エラーを防ぐコモンモード・フィルタ、デリケートなデジタル家電用LSIで直流回路電圧をノイズから守って安定化する積層セラミック・チップコンデンサなどEMC対策部品のラインアップは豊富だ。
ノート・パソコンや携帯電話の液晶画面を表示するビデオ信号も実は数百メガヘルツ・レベルと高い周波数を使っている。この高周波のビデオ信号からノイズを除去する小さな大物が積層チップビーズだ。もちろん液晶テレビやプラズマ・テレビのビデオ回路のノイズ除去にも不可欠な部品である。意外なところではDVDレコーダの光ピックアップにも組み込まれている。
液晶やプラズマなどのデジタル・テレビとビデオ機器をつなぐDVIや将来のHDMIなどの高速ビデオ・インタフェースを高周波ノイズから守るフィルタの分野でも、もちろんTDKの電子部品が活躍する。
アナログ部品でエレクトロニクス・ライフを支える
家電製品のデジタル化はとどまるところを知らない。オーディオ機器に始まり、パソコン、インターネットを経て、すでにビデオ、テレビにもその波は及んでいる。デジタル・テレビの双方向化は時間の問題で、今後はエアコンや冷蔵庫などのインターネット接続も視野に入ってくる。いわゆるユビキタス社会に一歩前進というわけだ。
デジタル家電が多機能化するほど、発生する電磁ノイズは増え、逆に電子回路はノイズに弱くなる。しかし、この悪循環は適切な対策さえ講じれば断つことができる。TDKが得意とするEMC対策部品の出番はますます増えそうだ。
高速・多機能化するデジタル家電が、逆にアナログ部品の活躍の場を広げる。この一見すると矛盾するようなデジタル家電の特性。このようなデジタル家電の名脇役、アナログ部品が便利で快適なエレクトロニクス・ライフのバックボーンを支えている。
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