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1. 高品質ブロードバンド環境を支える電子部品

 「日本のブロードバンド環境は世界一」。国連の下部機関である世界通信連合(ITU)がブロードバンド接続コストのランキングで最も低コストな国は日本だと発表したのがつい今年の9月。ブロードバンド環境では名実ともに世界のトップクラスに躍り出た格好だ。これにはADSL接続サービスの爆発的普及が一役買っている。  最近では、ADSLブロードバンド回線にルーターをつなぎ、家庭内の複数のパソコンでLANを構築して、快適にインターネットを共有・エンジョイしている家庭が増えている。将来的にはネット経由でコントロールできる家電製品の普及や、会社からインターネットを介して家庭内のDVD内蔵HDDレコーダーに番組録画を指示することもできる日も近いといわれている。  この家庭内のインターネット出入口であるルーターやADSLモデムなどには、TDKの電子部品が数多く使われている。これらの機器に使用されている電子部品を見てみると、チップバリスタ、フェライト・コア、チップコンデンサ、3端子フィルタ、チップビーズ、トランスなどのTDK製品が目白押しの状態だ。このように、TDKの電子部品はADSLを牽引車として急速に発展しているブロードバンド環境の高品質化を支えている。

ADSLサービスが爆発的に普及

TDKのADSL用ライントランスTRTシリーズ

ADSL接続サービスの発展は目覚ましい。つい数年前に始まった1.5Mbpsサービスがあっという間に8Mbps、12Mbpsに高速化し、いまやADSL回線のアクセス速度は24Mbpsや26Mbpsといった段階に到達した。総務省の統計によれば2003年9月末のDSL加入者は約923万件、FTTHやケーブルテレビを合わせると1,200万件を超える。普及は加速しており、月間数10万件のペースで増加してきている。高速ADSL接続サービスの普及につれて、実効的なスループットも数メガビット/秒〜十数メガビット/秒に達している。このスループットは企業ネットワークのインターネット接続速度に匹敵する。その恩恵を個人が享受できる時代になったのだ。アクセス回線がこの帯域になれば、それに連なる家庭内ネットワークにもスピードが求められる。

この高速接続を支えているのがADSLモデムやADSLルーターだ。その基幹部品であるライントランスとその中に組み込まれるフェライト・コアをTDKは手掛けている。信号を高速伝送するADSLモデムトランスは、一般的な伝送トランスと比べて比較的高い磁束密度(数10mT程度)で使用されるため、総高調波歪(THD)の低減が要求される。TDKでは、結晶微細構造制御などの技術を活かしてADSLモデムトランス用フェライト材DN70材を開発。この新素材を採用して製品化したライントランス「TRTEP7S」と「TRTEP13S」シリーズが、いち早くADSLを普及させた米国のADSLモデム・チップセット・メーカーから推奨を受けていることは、その技術力が高く評価されている証と言える。

家庭内LANもギガビットの時代に

一方でLAN技術の進化のスピードも激烈だ。ギガビットLAN関連製品が一般消費者の手の届く価格帯にまで降りてきており、数年前に企業の基幹ネットワークとして華々しく登場したギガビット・イーサネットがもう家庭に入ろうとしている。  

最近ではインテリアに配慮したデザインを採用する製品もあり、明らかに家庭をターゲットにしている。そして、またこの傾向はセット自体と搭載される電子部品の小型・軽量・高性能化の要求として現れてきている。また、LANの伝送速度も更にスピードアップが進んでおり、LAN関連機器の安定動作を確かなものにする電子部品が要求されてきている。TDKでは、高速LANシステム向けパルストランス用コアに要求される安定したインダクタンスを保ち、寒冷地でも安心して使ってもらえる-40℃〜85℃という広温度範囲での動作を保証するフェライト材DNW45を開発。また、このDNW45材は次世代高速LANにも対応できる期待の新製品だ。

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