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1. 大きく動き出したデジタル家電

クリスマスや年末を控え華やかな歳末商戦が繰り広げられる中、誰もが気になる人気商品がデジタルAVだ。CS・BSのデジタル衛星放送に続いて、地上波でもいよいよデジタル放送がスタートし、デジタルAVの人気にさらに拍車がかかっている。大型の液晶やプラズマフラットパネルテレビ、DVDプレーヤ・レコーダ、デジタル技術の応用がAV機器をはじめとした家電製品を根底から変え始めている。デジタルAV機器に搭載されている地上デジタル放送の双方向サービス機能やインターネット機能とブロードバンド通信を組み合わせることによって、かつては夢と考えられていた高機能サービスが実現されようとしている。また、デジタルAVとゲームの融合もデジタルならではのなせる技だ。

地上波放送もハイビジョンに

衛星デジタル放送に続く地上デジタル放送によって、チューナーと高解像度スクリーンのテレビさえあれば、お茶の間でハイビジョン映像をリアルタイムに愉しむことができるようになる。当面は東京・名古屋・大阪の一部地域に限られるが、来年には関東・中京・近畿の広域で受信できるようになる。その他の地域でも2006年以降、順次地上デジタル放送に移行する予定だ。
 デジタル放送によってもたらされるハイビジョン映像は最も身近なデジタルAVコンテンツと言えるもので、日本はアナログの時代からハイビジョン大国だ。地上デジタル放送の開始によってハイビジョン画像を誰もが体験できるようになる。
 デジタルコンテンツには著作権問題など早急に解決すべき課題もあるが、家庭内で楽しむことができるように様々な対策がされている。

デジタルAV家電は新製品ラッシュ

このデジタルAV時代に向けて家電各社はAV機器の品揃えを強化しつつある。小型から大型まで多彩な画面サイズをそろえた液晶テレビ、40インチ以上の大画面に強いプラズマ・テレビなどのフラットパネルテレビでは地上デジタル放送を受信できる機種が発売され、また既存のフラットパネルディスプレイでもチューナーをつなげば地上デジタル放送を楽しめるものが多い。地上デジタル放送を録画することができる DVDレコーダとHDD(ハードディスク装置)を内蔵した大容量ビデオレコーダーも登場した。これから地上デジタル放送を楽しむことができるデジタルAV機器が堰を切ったように発売されるだろう。
 最近のHDD搭載ビデオレコーダーやデジタル放送チューナーのほとんどは、ブロードバンド回線との接続機能を備えており、外出先からビデオの録画予約をしたり、ビデオレコーダーに機能を追加したり、双方向番組に参加したり、といった多彩な機能を備えている。このような新機能はデジタルAV機器への買い換えを促す大きな要因だ。

HDDとDVDに生きるTDKの技術

TDKのDVDレコーダ用光ピックアップ

ハイビジョン画像などのデジタル情報保存の主役といえるHDDでは、驚異的なペースで記録密度が増加してきている。TDKでは記録容量、記録・読み込み速度の向上に対応するため、ナノテクノロジーを生かしてGMRヘッドの次世代に採用されると考えられているTMRやCPP-GMRヘッドも早くから開発に着手。既に一部は実用化のレベルに達している。
 また、DVDの光ヘッドを構成する部品にもTDKの先進技術が活きている。高周波重畳モジュールはDVD光ヘッドの心臓部であるレーザーダイオード発振回路を形成する重要部品だし、光ヘッドのアクチュエータやモータには高性能ラバーマグネット、発振回路の不要輻射抑止用途には積層チップビーズが活躍している。このほかにもノイズ対策、デカップリング、パワー回路用に豊富な電子部品群がある。
 地上デジタル放送では高精細のハイビジョン放送が行われるが、現行のDVDではハイビジョンをそのままの高画質で録画することはできない。TDKでは主要電気機器メーカー10社によって提唱された、ハイビジョン画像録画のために青色レーザーを使った新しいBlu-ray(ブルーレイ)ディスクを発売した。Blu-ray(ブルーレイ)ディスクは、青色レーザーの使用だけではなく、CDやDVDよりさらに微細なトラックピッチを形成する高精度の基板を使い、また、高速記録性に優れた記録膜を採用しているのが特長だ。さらに、多層化によって1枚のディスクの記録容量を大幅に増やすことに成功。実験室レベルでは既に100GBの記録容量も達成している。

フラットパネルディスプレイとTDK

情報家電、特にデジタルAVの主役がフラットパネルディスプレイ。大型化が進んでいる液晶パネルではバックライトの高輝度化が進み、パワーがあると同時に高効率のDC-ACインバータが必要だ。TDKでは、長年にわたって培ってきた電源技術と高信頼性部品による高効率インバータを供給している。また、高効率が求められるプラズマディスプレイ用放電電源にもTDKの材料・部品・電源技術を生かすことができる。さらに、全てのフラットパネルディスプレイの要望に応えられるよう、新規にコア強度、磁気損失、および磁気特性を究めたフェライト材料を開発。材料技術をベースにお客様のニーズにあったパワー・EMC用フェライト・コアの開発・商品化を進めている。
 デジタル放送は究極的なブロードバンド配信の手段と言える。今後、このデジタル放送がもたらす膨大な映像コンテンツを高品質な状態で楽しむためのデジタルAVが、ネットワーク機能を備えた形で成長していく。それがいわゆるユビキタス社会への一つの入口だ。その門口に我々は現実に立っているのだ。

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