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4. ますます高まる電動化と電源の重要性

クルマの電動化の勢いが止まらない。現在のクルマはエンジン駆動系を除けば、ほとんど電気車と呼べるくらい電動化の比重が高まっている。クルマ本来のボディ系と呼ばれる部分はもちろん、車内の電装化は極限に近いほど進んでいる。キャビンの中はさながら走るリビングルームと化している。とどまるところを知らないこの電装化に、そろそろバッテリーが悲鳴を上げ始めている。

もっと電気を

そもそも車体の軽量化による燃費向上から始まった電動化の波が、最近ではクルマの快適性を高める方向へと変化し始めた。クルマの中でもふだんと変わらないリビングのような生活環境を求めるユーザーも登場し始めている。カーナビはもちろん、エアコン、サウンド・コンポ、さらにはDVDの映画やインターネットも愉しみたい。ユーザーの欲求は果てがない。自動車性能にそれほどの差がなくなった現在、快適さを求めるのも無理はない。
 ふだんの生活環境の実現となると、電気は欠かせない。現在の家庭生活はほとんど電気で成り立っている。それを車内に持ち込もうというのだから、電気の需要は高まるばかりだ。ところがクルマの側に立てば、これはかなり無理な要求と言える。クルマの電源はわずか12Vのバッテリーしかない。それに対して最近の電装品にはもっと高圧の電源が必要な場合もあり、その際は消費電流も半端な量ではない。現在のバッテリーはすでに悲鳴を上げ始めている。

高級車から高圧化の波が

TDKのチョークコイル他

この電力大量消費の流れに対応しようとする動きが出てきた。まだ高級車から始まったばかりだが、バッテリーを高圧化し、さらに電流容量も大きくしようとしている。現在のバッテリー電圧は公称12V。これをもっと高くして、電流容量の増大に対応しようという考え方が出始めている。しかし事故の時やメンテナンスの事情を考えれば、人体に危険が及ぶような電圧にはできない。このあたりは思案のしどころだ。


 EPS(電動パワステ)、デフォッガー(リアガラスの霜取り機能)などは高電圧の方が便利。ただ一方でECU(電子制御ユニット)などの車内制御・通信系は直流の5V、3.3Vが主流となりつつある。そこでバッテリーから供給される電圧の上げ下げを行う機能が電動化の進展とともに重要になってくる。現在ではチョークコイルとコンデンサ等で電圧の上げ、レギュレータで下げを行っているが、今後はさらに効率的なものとしてDC−DCコンバータが必要とされてきている。そして実はここでもTDK製品の活躍が大いに期待されている。

ハイブリッド車、燃料電池車へ

 TDK燃料電池車用DC-DCコンバータ

未来のクルマはさらに電気への依存度が高くなる。環境問題への関心が世界的に広がる中、自動車のクリーン度を求める声がさらに強くなるからだ。
 既にHEV(ハイブリッド車)は実現化され、FCEV(燃料電池車)の流れも今後はさらに加速してくる。しかし課題もある。先に述べた電源電圧のより効率的な変換、つまり優れた性能を有するDC-DCコンバータの実現はその一つだ。TDKでは業界に先駆けてHEV用DC-DCコンバータを開発。発熱を抑えた高効率設計で、その性能は自動車メーカーから高く評価され、既に数社のHEVに搭載されている。さらにFCEV用も開発を終え、実際のクルマに搭載されている。コアロスを極限まで低減したフェライト材の開発、磁気回路の最適化技術等、TDKは得意の素材技術を活かして、さらなる高性能・高効率DC-DCコンバータを追求し続けている。
 

 クルマの電気依存度がますます高まるとともに、自動車はある面で今以上に生活環境の一部に、例えば移動するリビングへと変貌するのかもしれない。極端に言えば、クルマが電気製品に分類されている場合もある。そうした時にクルマにとって、様々な電子部品の重要性がさらに増すのは確実だ。
 但し、どんなに時代が変わっても忘れてはいけないことがある。それはクルマが人の命を預かる製品であることだ。だからこそ、そこに使われる電子部品にも常に高い信頼性が必要となる。そして、それこそがTDKが自動車用製品に取組む上での最も大切とする思想である。

TDKは磁性技術で世界をリードする総合電子部品メーカーです

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