テクノ雑学

第33回 最新ニュースをてもとに配信! −便利なRSSのしくみ−

 最近のニュースサイトには、「RSS」や「Atom」などのアイコンがついているものが増えています。流行のブログにも同じようなアイコンがついていることがありますね。これを使うと、なにやら最新の更新情報を素早くチェックできるらしいのですが、いったいどのような仕組みになっているのでしょうか。今週の「テクの雑学」では、RSSの仕組みについてみてみましょう。

便利なRSSのしくみ

■ 最新記事をチェックできる!便利なRSSのしくみ

 RSSとは、「RDF Site Summary」の略であると言われています。Site Summryというとおり、サイトの要約をRDFという形式で作成したファイルです。

 RSSを利用してサイトの最新情報を得るためには、「RSSリーダー」という専用のソフトを使います。RSSリーダーに、更新情報を見たいウェブサイトのアドレスを登録すると、RSSリーダーがユーザーの代わりに定期的に登録したサイトのRSSをダウンロードしにいきます。RSSには、そのサイトの最新の記事や更新時刻が記載されているので、RSSリーダーはその部分を読み取って、新しい記事のリストと更新時刻を表示するのです。

RSSリーダーの仕組み


 記事のリストをクリックすると、その記事を読むことができます。無料のRSSリーダーがインターネット上で公開されています。

なぜRSSは便利なの?

 インターネットが普及して、リンクを辿りながらお気に入りのサイトを探していくのではなく、定期的にチェックする情報源としてウェブサイトを利用する人が増えてきました。サイトを見に行っても、更新されていないものが多くては、アクセスする時間の無駄になってしまいます。RSSリーダーを使えば、更新情報があらかじめ分かるので、無駄なく最新情報だけを見ることができます。

goo RSSリーダーでの画面表示例

【 関連情報リンク 】

■「goo RSSリーダー」


 とはいっても、サイト側でRSS配信に対応していなくては、RSSリーダーを使って更新チェックをすることはできません。RSSが注目されるようになったのは、ブログエンジン(ブログ作成用のソフト)に、自動的にRSSを生成する機能が実装されたのがきっかけです。更新頻度が高いことが多いブログの更新をチェックするツールとしてRSSはとても有用でした。同じように、更新頻度が高めのニュースサイトなどにも、広がりつつあります。

RSSには2種類ある!

 ところで、最初に「RSSとは、RDF Site Summryの略であると“言われている”」と書きました。それには理由があります。実は、RSSには2つの異なる規格があるのです。

 最初にできたRSSは、1999年にNetscape社が公開した「RSS0.9」でした。この時のRSSは、「RDF Site Summary」の意味でした。RDFとは、XMLを使って、コンテンツの概要を現す「メタデータ」の仕様を決めた規格です。

 インターネット上のウェブサイトにはさまざまな情報があります。無数にあるウェブサイトに掲載されている情報の意味をブラウザ自体が解釈して、検索対象にするかしないかを決めたり、リストを作成したりといったことができれば、有用な情報を効率よく取り出すことができるはずです。このようなことを可能にする技術として注目されているのが、「セマンティックWeb」であり、セマンティックWebを実現するために、データの書き方を規定したのが「RDF」です。

 さて、Netscape社が公開した「RSS0.9」ですが、その後Netscape社がRSSを使ったコンテンツ配信から撤退してしまったため、さまざまな規格が乱立することになりました。最新のコンテンツをユーザーに届けるという目的のためには、RDFの規格は少々複雑すぎたこともあり、RSS0.9の後継規格であるRSS0.9x(xのところには数字が入る)では、RDFの使用を取りやめてしまいました。

 こうした状況を整理するために作られた規格が、RSS1.0です。RSS1.0では、基本に返って、「RDFにのっとった形で、ヘッドラインなどのコンテンツの概要を記述する」ことを目的とした規格になっており、RSS0.9xの後継規格とはなっていません。

 一方、コンテンツそのものの配信にRSSを利用したいグループでは、RSS0.9xの後継規格として、RSS2.0という規格を新たに制定しました。こちらは、テキストはもちろん、音楽や動画などのさまざまなコンテンツそのものを、ユーザーに配信することに主眼が置かれた規格です。RSS2.0のRSSは「Realy Simple Syndication」の略であり、RDFは使用していません。

 こうした経緯で、名前はよく似ているのに目的や用途が全く違う2つのRSSが対立しているのが現状です。そのため、RSSの基本的な考え方は継承しつつ、新たなコンテンツ配信のフォーマットとして、IETF(The Internet Engineering Task Force)のワーキンググループで制定が進められているのが「Atom(Atom Syndication Format)」です。これも、書式は違いますが、RSS2.0と同様コンテンツ配信の規格として提案されています。

 このように、現在は、3種類の異なる規格が並立していますが、ほとんどのRSSリーダーは3つの規格全てに対応しているので、RSSリーダーを使って情報をチェックする側では、あまり違いを意識する必要はありません。便利ですね。

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