テクノ雑学

第3回 あなたは「新・東洋の魔女」派? それとも「追憶」派? —— テレビは生活スタイルで選ぶ時代に ——

あなたは「新・東洋の魔女」派? それとも「追憶」派?

皆さんの多くが利用しているテレビは、あと7年で、今の状態では使えなくなります。アナログ放送が2011年で終了してしまうからです。それにかわって、二重映りのないシャープな映像と迫力のサウンドが楽しめると言われている「デジタル放送」が始まります。また、今年は4年に一度のオリンピック年。オリンピックの開催される年にはテレビがよく売れるとも言われています。それらに合わせた商戦は過熱するばかり。今回はアナログ放送の打ち切りとアテネオリンピックを控え、テレビを買い替えようか悩んでいるあなたに薄型テレビについての話題です。

 一口に薄型テレビと言っても、プラズマテレビと液晶テレビの2つに分けることができ、それぞれ特徴を持っています。販売員やメーカーはその特徴を突いて自社製品や推奨品をアピールしてくるので、新製品だからと買い換えて、自分のニーズと合わない買い物=製品特性を考えた購入をしないと、後になって「こんなはずでは…」ということにもなりかねません。

それぞれの特徴は映像の表示方法に端を発します。プラズマは小さな蛍光灯の集合体だと考えていいでしょう。その蛍光灯の数はなんと約315万個。それがあの画面一杯に埋めこまれているのです。電極を取り付けた2枚のガラス板を重ね、その隙間に封入したガスに電圧を加えることで、ガラス板の内側に塗布された赤、青、緑の蛍光体を発光する、という仕組みになっています。  

一方、液晶は電圧の変化によって透明度が変わる性質を利用し、前面に配置したカラーフィルターの透過する光の量を変化させ、映像を表示しています。液晶そのものは光を出さず、後ろから光をあてる(バックライト)ことで映像を表示しているのです。  

このように、私たちが見ているテレビ番組は同じでも、その表示の仕方は全く異なります。この表示の違いが、性能に大きな影響を与えることになるのです。  

たとえば、プラズマは315万個がすべて発光しなければならないため、多くの電力を必要とします。それだけのパワーを使うので劣化が速くなりがちです。一般的にプラズマテレビの耐用時間は約20,000時間、一日平均5時間の視聴だとして、耐用年数は11年間と言われています。液晶は自ら発光する必要がないため、消費電力が少なくてすみ、劣化が抑えられるというメリットがあります。その耐用時間は約60,000時間とされていますので、一日平均5時間の視聴で33年間使用可能だということになるでしょう。その他にも、反応速度や見やすさの問題などそれぞれ一長一短がありますが、全てが表示形式の違いによるものなので、原理がわかっていれば、さほど選択に困ることではないと思います。  

これまでのブラウン管テレビの時代とは異なり、スポーツ観戦にいい薄型、映画鑑賞にいい薄型など、これからは利用目的に合わせてテレビを選択する時代になってきます。迫力のある大画面で「新・東洋の魔女(全日本女子バレー)」に声援を送りたい、静かなリビングで往年の名画「追憶」を鑑賞したい——。さて、プラズマテレビと液晶テレビ、あなたのテレビ生活に合う薄型テレビはどちらですか?

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