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vol.10 高い信頼性で8GBを制御 GBDriver

高い信頼性で8GBを制御 GBDriver

 

ビンに入れた水のように、一度満たした水はずっとビンの中に残る。 電源を切ってもデータが消えないので、こうたとえられるのがフラッシュメモリである。 すでに身近なフラッシュメモリだが、これを制御させるためのICをTDKが開発して注目されている。

フラッシュメモリを最大8個まで制御

フラッシュメモリは、いろいろな情報機器に採用されているが、それと知らずに使っている人も多いだろう。携帯電話やPDA(携帯情報機器)のプログラム格納、電話番号情報の保持、あるいはデジタルスチルカメラの画像保存、コンパクトフラッシュなどメモリカードのデータ格納にも、フラッシュメモリが使われているのである。半導体をメモリに用いたフラッシュメモリは、電源を切ってもデータを記憶しつづけるため、不揮発性メモリとよばれる。データをバックアップするための電源が必要なく、メモリ素子の構造が簡単で大容量化しやすい、もちろんデータを何回も書き換えることができる。ちなみに、パソコンに使われているメインメモリは、DRAMという揮発性メモリで、電源を切るとデータが消えてしまう。  

フラッシュメモリ本体は、ひとつのICに集積されて1チップ化されている。しかし、これだけでは機能しない。たとえば、コンパクトフラッシュを使用するデジタルカメラだが、カメラからフラッシュメモリへ画像データを転送するためには、それをコントロールするための専用ICが必要となる。それが、フラッシュメモリコントローラICである。つまり、フラッシュメモリを使用する機器なら、このコントローラICがかならず必要なのだ。TDKでは、フラッシュメモリコントローラICを「GBDriver」という名前で製品化している。256MB(メガバイト)のフラッシュメモリを最大8個、8GB(ギガバイト)もの大容量をひとつで制御できるというすぐれモノなのである。

世界トップレベルの高信頼性

GBDriverは、高度な信頼性が求められる医療機器やPOS(販売時点情報管理)用にまず開発された。世界トップレベルの信頼性という言い方もはばからない。それだけ、データを保護する追求が重ねられているのである。なぜそんなに高信頼なのか、その理由について説明しよう。 

何回でも書き換えできるのがフラッシュメモリの利点だが、実は厳密にいうと、書き込み、消去を繰り返すうちに記録特性が劣化してくる。通常、10万回程度の使用では問題ないが、特定のブロックに書き込みと消去が集中するとそのブロックが不良化してしまう。そのためGBDriverでは、使用するブロックを分散させてブロックの消耗を均一化させているのだ。また、動作が不安定なブロックを検出・チェックし、書き込みエラーのリスクがあるブロックへの書き込みを回避。さらに、消去状態が不完全なブロックへの書き込みも防止。これらによって、記録信頼性を寿命いっぱいまで高めているのである。

省電力化、高速化も徹底追求

容量が大きくなるほど、トラブルが起きたときのダメージは大きくなる。したがってフラッシュメモリでは、データが確実に記録され、読み出されるかどうか信頼性がまず重要視されるのだが、それがすべてではない。たとえば、メモリカードを記録媒体に使ったデジタルカメラ。各種あるメモリカードのなかでも、大容量で高精細化のニーズに適しているのがコンパクトフラッシュだ。プロの写真家にも使われることが多いこのメモリカードでは、書き込み、消去における信頼性はもちろんのこと、省電力性や高速性などあらゆる面で高度な品質が要求されている。  

メモリアクセスの高速化も実現し、書き込み、読み出し速度が約30%アップしている(従来品比)。高信頼性は、GBDriverのひとつの顔でしかない。「トータルバランス設計」、これそが、このICの特長を言い表す言葉であり、この製品の設計コンセプトなのである。HDD(ハードディスクドライブ)と、いい意味でのライバル関係ができつつあることも、互いの性能アップに期待できそうだ。

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