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No.53 バーコード/ラベルプリンタのサーマルプリントヘッド

 

※本記事は、掲載時点の情報に基づくものであり、現在、本製品はTDKでは取り扱っておりません。

バーコードにもさまざまなタイプがある

着物や帯などの伝統文様である縞柄(しまがら)にはユニークな名がついています。たとえば、太線と細線が繰り返す縞柄を“子持ち縞”とか“親子縞”、太線の両側に細線を添えた縞柄を“両子持ち縞” とか両脇の子が親を守ると見立てて“孝行縞”といい、また太線がしだいに細くなっていく縞柄は“滝縞”といいます。線の太さや配列が不均一で、まるでバーコードのような縞柄もあります。これは“矢鱈縞(やたらじま)”と呼ばれます。
 バーコードにはさまざまな規格がありますが、食品や雑貨などにつけられるのはJANコードという共通商品コードです。太いバーと細いバーの組み合わせによって、13ケタの数字(標準タイプ)あるいは8ケタの数字(短縮タイプ)を表します。

 標準タイプの13ケタのJANコードは、最初の2ケタが国コード(日本は49あるいは45)、続いてメーカーコード(5ケタまたは7ケタ)、商品アイテムコード(5ケタまたは3ケタ)、最後の1ケタが誤読防止をチェックするための数字(チェックデジット)となっています。しかし、わずか10ケタほどの数字では商品の内容まで盛り込むことはできません。そこで、より多くの情報を盛り込むために、さまざまなバーコードが考案されました。工場の生産管理や在庫管理、オフィスの伝票管理などに用いられるCode39やCode128というバーコードでは、バーの太・細とともにバー間のスペースの太・細も利用します。このため数字のみならずアルファベットや記号などもコード化できます。

 さらに多くの情報を盛りこむために考案されたのが2次元コードです。バーコードを縦に何段にも重ねて圧縮したようなタイプをスタック型といいます。これをさらに発展させたのがQRコードです。QRコードは碁盤上の碁石のように、黒白の小さな点がつくるパターンによってコード化するマトリックス型と呼ばれる2次元コードです。もともと自動車部品メーカーが生産管理のために考案したものですが、今では航空券などのチケットや馬券(勝馬投票券)、商品広告など、さまざまな分野で利用が拡大しています。

伝統的な縞柄の名称

 

JANコード(標準タイプ・13ケタ)の例

 

QRコードの例


■ CCD型バーコードリーダは電子的にスキャンする

 かつてスーパーで買い物をすると、出口のレジスタで値段を打ち込んでいましたが、今ではバーコードリーダ(バーコードスキャナ)で商品のバーコードをピッと読み取るという光景に一変しました。日本におけるバーコードの普及は、1980年代初頭、大手コンビニがPOSシステム(販売時点情報管理システム)を全国の店舗に導入したことから始まりました。バーコードリーダを備えたコンビニのPOSターミナル(POSレジスタ)は、店内のコンピュータ(ストアコントローラ)とつながり、通信回線によって本部のホストコンピュータとつながっています。全国の店舗の販売情報をリアルタイムで把握することで、仕入れや配送を大幅に効率化できるようになりました。こうしてPOSシステムは、スーパーやデパート、全国にチェーン展開する家電店や医薬品店などにも導入されるようになり、全国規模での流通システム革命をもたらしたのです。

 バーコードリーダにはさまざまなタイプがあります。最もシンプルなのはペンタイプです。手に持ってバーコードをなぞり、ペン先から出るLEDの光により読み取る仕組みです。バーコードの白黒が反射光の明暗となるので、それを受光センサが電気信号に変換します。バーコードをなぞらなくても、あてがうだけで一瞬のうちに読み取るハンディタイプは、コンビニなどで広く使われています。搭載されたCCDにバーコードのパターンを映し、それを電子的にスキャンして情報を読み取ります。

 スーパーのレジなどでは、定置式のバーコードリーダが使われています。商品が傾いたままでもバーコードがスキャンできるのは、多方向にレーザ光を照射しているからです。

 QRコードのような2次元コードの読み取りには、画像処理技術を取り入れたイメージセンシング方式のバーコードリーダが用いられます。この方式ではバーコードばかりでなく、数字や記号なども読み取ることができます。現在のカメラ付き携帯電話のほとんどが、QRコード対応となっていて、カメラ機能でQRコードを読み取ることで、商品情報や観光情報など、さまざまな情報がその場で得られるようになりました。携帯電話はバーコードリーダとしての機能を装備したことにより、応用可能性をさらに拡大したといえるでしょう。

ペン型(マニュアルスキャン)

 

ハンディ型(CCDスキャン)

 

定置型(レーザスキャン)


■ すぐれた耐摩耗性により、高く評価されているTDKのサーマルプリントヘッド

 スーパーや小売店などでは、その店舗内でのみ通用するバーコードが使われます。これをインストアコード(インストアマーキング)といいます。工業製品と違って、生鮮食料品や加工食品などでは、重さに応じた価格がつけられるので、店舗内でインストアコードのラベル印刷が必要となるのです(日本のインストアコードの頭の数字は、02または20〜29が使われています)。

 こうしたインストアコードをラベル印刷するには、パソコンとインクジェットプリンタでも可能ですが、ラベルが濡れたりすると印刷インクがにじんで、バーコードリーダで読み取りエラーを起こすおそれがあります。しかし、感熱紙ならその心配はなく、何よりもインクを必要とせず装置も小型・簡便なもので済みます。そこで、インストアコードのバーコード印刷の多くに感熱紙を用いたバーコード/ラベルプリンタが使われます。

 バーコード/ラベルプリンタによる感熱紙への印刷はサーマルヘッドによって行われます。サーマルヘッドとは、直線的に配列した微細な発熱体(ドット密度:6〜24ドット/mm)のそれぞれに、ICドライバを通じて選択的に電位を加えて発熱させ、感熱紙に数字・文字・絵柄などを記録するヘッドです。TDKのサーマルヘッドは薄膜ヘッド部とドライバIC、外部接続用コネクタなどをアセンブリした製品です。薄膜ヘッド部はアルミナ基板に蓄熱層としてのグレーズを印刷し、その上に発熱体層や電極層、保護膜を薄膜プロセス技術によって成膜して製造されます。このため薄膜サーマルヘッドとも呼ばれます。

 TDKのサーマルヘッドの特長は、薄膜プロセス技術による応答性にすぐれた発熱体層に加えて、 CVD成膜法による高信頼性の保護膜(newBP膜)を採用していることです。業界トップクラスの耐摩耗性と耐傷性は高く評価され、バーコード/ラベルプリンタ、銀行ATM、発券機、POSターミナルなどに広く利用されています。
 

バーコード/ラベルプリンタのサーマルプリントヘッドの基本構造

 

TDKは磁性技術で世界をリードする総合電子部品メーカーです

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