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第5回 高精細・高画質化の波を受けるカメラの世界 DSC/DVC

カメラの世界に押し寄せる高画質・高精細化の波

 

DSC/DVC(デジタルスチルカメラ/デジタルビデオカメラ)  

 

高画質化の波が、カメラにも迫ってきた。ビデオカメラも、ついにハイビジョン映像対応が登場した。スチルカメラも、毎年約100万画素単位で高精細化している。

ビデオカメラのゆくえを左右する記録技術

VTR(ビデオテープレコーダ)が発明されたのは1950年代の米国である。放送局用であったVTRを家庭でも使える小型の民生機器にしたのは日本の電機メーカーの技術力である。その規格をめぐるVHS陣営とベータ陣営の熾烈な争いは今でも語り草になっている。  

VTRが普及すると、動画を自分で撮影して自宅のテレビに映して楽しみたいというニーズが生まれ、家庭用のビデオカメラが開発された。アナログ記録方式ビデオカメラは、1990年代半ばになって、磁気テープへのデジタル記録方式を用いたDV規格のデジタルビデオカメラへと進化。低価格化と小型化の進行とともに、ほどなくビデオカメラの主流となった。また磁気テープ記録のみならず、DVDやハードディスクを記録メディアとする機種も登場。2004年頃からは、高精細のハイビジョン映像を記録・再生できるHDV方式(映像圧縮にMpeg技術を用い、従来と同一レートにてDVテープにデジタル記録)のビデオカメラも発売され始めた。  

ハイビジョン映像は圧縮をかけてもデータ量が多く、現状ではテープメディア以外では長時間録画が困難だ。そこで注目されているのが、青紫レーザディスク(ブルーレイディスク)や新世代の小型大容量ハードディスクである。アナログ、デジタル、ハイビジョン対応と、三段跳びの進化を遂げてきたビデオカメラの技術と文化は、ついに「すべてがハイビジョン」というゴールに着地。放送インフラ、受像機、録画再生、ホームビデオ撮影収録のすべてがハイビジョン化を成し遂げたことになる。

デジタル記録メディアのチャンピオンが高画質動画記録メディアにおいても主流になる。

ハイビジョン動画という大容量高速デジタル記録メディアは、従来の画像記録メディアとは一線を画する。それは、画像記録メディアのボーダレス化である。VHS、VHD、レーザディスク、Hi-8、DVなどのようにビデオ機器と映像メディアが一対一に結びついていた時代は終わった。光ディスク、ハードディスク、そしてテープメディアの各部門でのチャンピオンが、ハイビジョン記録に最もふさわしい記録メディアになるのである。

デジタルカメラは銀塩を越えたか?

さて、デジタルスチルカメラ(DSC)だが、どこまで引き伸ばすかによるが、画素数に限っていうなら、銀塩と比べて遜色のないレベルに到達している。500万画素程度の一眼デジカメの映像ならA4いっぱいに伸ばしても問題ない。画素数がこのレベルに達した今、残された課題は階調表現性のさらなる改善である。シャドーからハイライトまでの表現力こそが写真の醍醐味。階調のディテールがきっちり表現されることがポイントだ。  

デジカメの設計者は何と戦っているのか? それは、ずばりノイズである。画像信号に含まれるノイズは、ダイナミックレンジを狭める。そのしわ寄せとして両端のシャドーやハイライトの階調が圧迫される。写真雑誌のデジカメ特集をみると、これがデジカメ写真か、と目を見張るものがある。まさに開発者が日々ノイズ低減に邁進してきた結果である。  

画像信号に侵入するノイズにはさまざまな成因がある。まず、CCD、CMOSなどの撮像素子内部に起因するものだ。特に画素数を増やすことで各画素の面積が小さくなり、1画素あたりの受光量が低下して信号レベルが下がる。画像のSN比を低下させないためには、撮像素子内の低ノイズ化が大きく貢献する。しかし、いくら撮像素子内を低ノイズ化しても、周辺回路がノイズだらけでは意味がない。たとえば、撮像素子を駆動するクロックにも細心の注意が必要であり、ノイズをシャープに除去し、リンギングやオーバーシュートを起こさない、正確なエッジタイミングを出すことが重要である。このような、シャープでスムーズな波形成形に効果的なのがTDKの三端子フィルタMEM1608-Dである。

“もっと長く、もっとキレイに”を支援するTDK

電源系統にも万全のノイズ対策が行われていなければならない。撮像素子、レンズ駆動系、液晶ディスプレイ、デジタル画像処理回路など、多数の機能ブロックをインテグレートしたDSC/DVCでは多種の異なる駆動電圧が必要となる。さらに、バッテリ駆動での動作時間を稼ぐために、同じ駆動電圧であっても、ある特定の動作について必要となるモジュールと不必要になるモジュールとにきめ細かく分割し、不必要なモジュールは、こまめに部分的に電源をオフする工夫がなされている。このため多くの独立した電源系統が必要となり、またそのそれぞれのノイズレベルが低いことが重要である。そのために多数のチョークコイルが必要となる。  

TDKのSMDインダクタGLFシリーズは、各種モバイル機器の低消費電力化に応えて開発されたもので、小型でありながら低Rdc(直流抵抗)の巻線構造である。材料のファイン化技術によるコア寸法精度の向上、巻線1本1本の精密な位置制御など、数々の先進要素技術を投入、DVC/DSCの効率的な駆動を支えている。また、独立した電源系統にはそれぞれに効率のよいDC-DCコンバーターが必要であり、その用途にはSMDインダクタVLF/VLCFシリーズが有効だ。

高速画像処理ICを始めとするLSI周辺では、デカップリング用のコンデンサが多数使用される。デカップリングとは、LSIの動作による小刻みな電流変動に対し、LSI直近に低インピーダンスのコンデンサを配置することにより局所的に電流供給を行い、電流変動の影響が他の回路部分へ波及すること(結合:カップリング)を防ぐ(デカップリング)ことである。TDKの提供するインダクタ、ビーズ、コンデンサそれぞれの性能を活かして、エンジニアはノイズ低減に腕を振う。あくなき高画質を求めて。

「もっと長く、もっとキレイに」。TDKの電子部品が活用されている。

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