テレビにデジカメ、身近な家電の電子デバイスの仕組み|あっとデバイス

第7回 ユビキタス時代に向けて携帯電話はさらに進化する

ユビキタス時代に向けて携帯電話はさらに進化する  

 

とどまることを知らない携帯電話の多機能化。メールはもちろん、カメラ、ブラウジング、ゲーム、テレビ、音楽プレーヤー。もはや電話というより、通話機能が付いたマルティメディア端末である。

マルチメディア端末となった携帯電話

携帯電話は通話のためのツールから多機能なマルチメディア端末へと発展を続けている。短期間にこれほどドラスティックな進歩を遂げた技術というのも珍しい。  携帯電話の前身は1979年に登場した自動車電話である。移動しながら通話できるというのは当時としては画期的な機器だった。もっとも重量が7kgもある据え置きタイプなので自動車の中でしか使えなかった。その不便さを解消して1985年に登場したのがショルダーホンだ。重さは3kgほどに半減して、なんとか持ち運びは可能にはなった。  

NTTが携帯電話サービスを開始したのは1987年である。重さは1kgを切るようになり、初めて“携帯電話”と呼べるタイプの端末が登場したのである。携帯電話が爆発的にブレイクしたのは、それまでレンタル制であった規制緩和によって端末の販売が自由化された1994年以降のことである。デジタル方式の第2世代(2G)機やPHSサービスも登場して、普及率は急激に上昇しはじめた。  

その後の10年間の技術進化は目を見張るものがある。カラー液晶やカメラ機能の搭載、iモードなどによるインターネットとの接続など、高機能化・多機能化を進めながら小型・軽量化はいちだんと進んだ。2001年からは第3世代(3G)の携帯電話も登場し、カラー動画の送信やTV電話なども可能になった。2006年からは携帯電話向け地上デジタルTV放送“ワンセグ”や、契約事業者を変えても電話番号を変えずにすむ“番号ポータビリティ”のサービスも開始される。携帯電話の進化はとどまるところを知らない。

マルチバンド化と国際ローミングの進展

日本では3G端末が契約者数全体の約3分の1にまで達しているが、世界的にはまだほとんどが2G端末である。  

ヨーロッパ、アフリカ、アジア(日本、韓国などを除く)、オセアニアなど、世界で最も広く使われている通信方式は、ヨーロッパ生まれのGSMである。GSMでは900MHz帯の電波が使われているが、加入者数が増えるにしたがって電話がかかりにくくなるという弊害が生じてきた。そこで、1800MHzを利用したDCSが導入され、1台の端末で2つの通信方式に対応したデュアルバンド機が開発された。同様にアメリカではD-AMPSとPCSのデュアルバンド機が普及した。近年はGSM/DCS/PCSの各方式が1台で利用できるトリプルバンド機などのマルチバンド化が進行している。国・地域によって異なる利用周波数をアンテナ回路部で切り替えることで、国境を越えても同じ端末が使えるようにしているのである。  

国内で契約している携帯電話サービスを海外でも同じように受けられるようにすることを国際ローミングという。日本のPDCは国内でしか通用しないが、国際ローミングに対応した3G端末の開発により、ようやく海外でも使えるようになってきた。日本の携帯電話は高度なマルチメディア端末となっているが、グローバル化への対応は始まったばかりの段階なのだ。

*W-CDMA方式については、850MHz帯も使用可能になりました。また、2005年11月9日、総務省は携帯電話事業の新規参入に関して、1.7GHz帯でソフトバンクグループのBBモバイル、イー・アクセス子会社のイー・モバイル、アイピーモバイルの3社を認可すると発表しました。

携帯電話に凝縮されたTDKの蓄積技術・先進技術

携帯電話の技術革新に大きく貢献してきたのは電子部品の小型化技術と高密度実装技術である。携帯電話にはコンデンサをはじめとするチップ部品が数百個も使われる。小型化による省スペース化や省電力化によって設計の自由度が増し、さらなる高機能化・多機能化を可能にしてきたのだ。  

グローバルでシームレスかつブロードバンド対応という先進ニーズに対応して、マルチバンドやマルチメディア機能を取り込んだ3G端末が、これからの主流になってくるだろう。そのキーテクノロジーとなるのは回路凝縮化技術である。TDKでは先進のLTCC(低温焼成多層基板)技術により、ダイプレクサ、アンテナスイッチ素子、LPFといった高周波部品を一体化させたフロントエンドモジュールをいちはやく開発した。  

TDKが誇るフェライト技術は携帯電話にもあますことなく生かされている。その1つがパワーアンプから送り出される信号は通過させ、アンテナから逆流してくる信号は阻止する機能をもつアイソレータだ。1995年には7mm角だったアイソレータは、現在は3.2mm角にまで小型化している。  身近なツールでありながら、先端技術がぎっしり凝縮されているのが携帯電話。次世代携帯電話である4G端末の規格検討や研究開発も進んでいる。いつでも、どこでも、誰とでもコミュニケーションが可能なユビキタス時代に向けて、TDKの電子部品・デバイスは携帯電話のさらなる進化を強力にサポートしている。

TDKは磁性技術で世界をリードする総合電子部品メーカーです

TDKについて

PickUp Tagsよく見られているタグ

Recommendedこの記事を見た人はこちらも見ています

テレビにデジカメ、身近な家電の電子デバイスの仕組み|あっとデバイス

第8回 4G携帯電話に向けた先進技術トレンド

テレビにデジカメ、身近な家電の電子デバイスの仕組み|あっとデバイス

グローバルで注目される自動車省エネ技術の今後と課題

テクノロジーの進化:過去・現在・未来をつなぐ

AIの未来:ChatGPTはどのように世界を変えるのか?

PickUp Contents

PAGE TOP