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十種競技・七種競技とは?十種競技・七種競技の各競技の種類と世界記録を解説します。
十種競技の世界記録と単一種目の世界記録の比較
十種競技(男子)・七種競技(女子)は、「走る・跳ぶ・投げる」の総合力を競う混成競技で、その勝者はキング・オブ・アスリート、クイーン・オブ・アスリートと称されます。
十種競技・七種競技は、紀元前のギリシャで開催されていた古代オリンピックの古代五種競技(走り幅跳び、円盤投げ、スタディオン走、やり投げ、レスリング)がルーツです。スタディオンとは約200mの直線走路を意味するギリシャ語で、英語のスタジアム(競技場)の語源です。また、十種競技・七種競技は、英語ではデカスロン、ヘプタスロンといいます。このアスロンやアスリート、アスレティクスという言葉も、“競技”に関したギリシャ語に由来します。
十種競技・七種競技は、連続2日間にわたり、次の種目が実施されます。競技前のウォーミングアップや練習、競技後のクールダウンや休憩などの時間を配分しながら、「走る・跳ぶ・投げる」という種目を、次々とこなしていくには、すぐれた運動能力や忍耐力のほか、メンタル面でのタフさも求められ、陸上競技の中でも最も過酷な競技といわれます。もちろん、すべての種目について、日頃からのトレーニングも欠かせません。
記録(タイムや距離)は、定められた計算式によって得点に換算され、合計得点によって順位が決定します。 計算式はかなり複雑で、たとえば100m走では、記録をT(単位:秒)として、得点=25.4347×(18-T)1.81[点]となります。関数電卓を使えば計算できますが、タイムや距離の数値を入れるだけで、簡単に点数に換算してくれるパソコン用ソフトやスマートフォン用アプリがあります。 十種競技の世界歴代10傑の記録を以下に示します。
十種競技の世界記録は2018年に、K・マイヤー選手が達成した9126点です。それまでの世界記録は北京2015世界陸上競技選手権大会においてA・イートン選手が14年ぶりに更新した9045点でしたが、K・マイヤー選手はこれを100点近く上回る驚異的な記録で、あっさりと塗り替えてしまいました。
K・マイヤー選手は短距離・中距離走では、A・イートン選手の記録に及ばなかったものの、得意の投てき競技(砲丸投げ、円盤投げ、やり投げ)で好記録を達成し、総合得点を大きく伸ばして世界記録を樹立しました。
そのときの記録(タイム・距離)と、単一種目の世界記録との比較を以下に示します。K・マイヤー選手は投てき競技が得意とはいえ、その記録は単一種目の世界記録とかなり差があります。1992年生まれの若い選手なので、投てき種目の“伸びしろ”しだいで、十種競技の自己の世界記録をさらに塗り替える可能性があり注目を集めています。
七種競技の世界記録と歴史
女子の七種競技の世界歴代10傑の記録を以下に示します。世界記録は1988年、J・ジョイナー=カーシー選手が記録した7291点です。歴代2位は2007年のC・クリュフト選手の7032点で、その差は259点もあります。この傑出した世界記録は、いつ、誰によって破られるのか興味が尽きません。
十種競技・七種競技の見どころと競技場所の解説
十種競技および七種競技は、同じスタジアムで連続2日間にわたって実施されます。トラック競技とフィールド競技を観客の熱狂とともに同時観戦できるのは、スタジアムならでは醍醐味です。
以下に陸上競技場の簡略図を示します。国際大会などが開催される公認の陸上競技場では、跳躍場や投てき場は複数、設けられていて、風向きによって競技場所が変更されたりします。
投てき競技で最も飛距離が伸びるのはやり投げで、投てき用芝生の端から端までを使用します。やり投げの世界記録は、J・ゼレズニー選手の98.48m(1996年)です。100m超えは時間の問題のように思えますが、実は1984年に104.8mという人類初の100m超えの記録が達成されました。しかし、このまま記録が伸びていくと、投てき用芝生の領域を越えてしまうことが予測され、やりの重心を前方にずらして飛距離を10%ほど短縮する規則改定が行われました。現在の公認記録は、男子は1986年以降、女子は1999年以降のものです。
十種競技・七種競技の最後の種目である中距離走(男子は1500m、女子は800m)は、体力面でもメンタル面でも、きわめてハードなレースとなります。たとえトップでゴールしても、総合得点で1位とならなければ、キング・オブ・アスリート、クイーン・オブ・アスリートの座は、他の選手に奪われてしまうからです。ライバル選手との駆け引きや、残る力を振り絞るラストスパートも、レースの見どころとなります。
スポーツ科学やヘルスケアをサポートするTDKのセンサ&センシング技術
センサ&センシング技術を利用して、陸上競技やスポーツを効率的・効果的に向上させる取り組みが活発化しています。たとえば、モーションセンサ(加速度センサや角速度センサ)によって選手の動きや姿勢を分析したり、生体センサで心拍や呼吸、体温、発汗などを計測して選手の体調を把握したり、環境センサによって気温、湿度、気圧などを計測して競技記録との関係を調べたり、また、これらをAI(人工知能)で解析することで、陸上競技やスポーツのさらなる可能性を探求することができます。
センサ&センシング技術は、日々のトレーニングを記録する活動量計などにも利用されています。
TDKでは高精度センサと独自のソフトウェア/アルゴリズムの融合により、運動量や脈拍などのバイタルデータを収集・管理するためのウェアラブルな生体センサをSilmee™シリーズとして提供しています。
Silmee™ W22はリストバンド型の活動量計で、加速度センサ、脈拍センサ、温度センサ、マイク、UV(紫外線)センサを搭載し、ランニングやウォーキングの歩数や運動消費カロリー、睡眠時間、脈拍、皮膚温度、UV(紫外線)量などを測定・記録することができます。加速度センサで睡眠時間まで自動記録できるのは、独自開発のアルゴリズムによるもの。加速度センサで得られる就寝時の体動パターンを自動分析することで、就寝状態と覚醒状態を判別します。
24時間リアルタイムの脈拍計測は、本体の裏側に配置された緑色LEDとフォトダイオードを用いた反射型の光電方式を原理とします。発光源である緑色LEDから手首の皮膚に光を照射し、皮下1~2mmの毛細血管で拡散反射して戻ってくる光量を受光素子であるフォトダイオードで計測する方式です。
心臓の拍動にともなって手首の皮下の毛細血管は拡張・収縮します。血液中のヘモグロビンは光を吸収する性質があるため、毛細血管の拡張時は血液量が多くなって、フォトダイオード届く反射光は少なくなり、逆に毛細血管の収縮時は血液量が少なくなって、フォトダイオードに届く反射光が多くなります。これによって24時間リアルタイムで脈拍を計測することができます。連続的に脈拍を測定することで、年齢に応じた最適な運動負荷がわかるため、日々のトレーニングや健康管理をサポートする頼もしいツールとなります。
さまざまな利用シーンにフィットするデザインと、文字を読みとりやすいディスプレイを採用。1度の充電で約10日間、連続使用することができ、約1か月分相当の活動量記録が可能です(日数は目安です。使用状況によって変動します) 。センシングで得られたバイタルデータは、専用アプリ“Silmeeコネクト”により、スマートフォンのディスプレイに表示・管理することができます。
リストバンド型活動量計Silmee™
https://product.tdk.com/info/ja/products/biosensor/biosensor/index.html
十種競技 競技概要(英語サイト)
https://www.iaaf.org/disciplines/combined-events/decathlon
七種競技 競技概要(英語サイト)
https://www.iaaf.org/disciplines/combined-events/heptathlon
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