エレクトロニクス入門

コンデンサ編 No.4 「フィルムコンデンサ①」

フィルムコンデンサの種類や基本構造

フィルムコンデンサの種類

フィルムコンデンサはプラスチックフィルムを誘電体として利用したコンデンサです。その技術ルーツは19世紀後半に発明されたペーパーコンデンサです。これは油やパラフィンを含浸させた紙をアルミニウム箔をはさみ、ロール状に巻き取ったコンデンサです。金属箔のかわりに、紙に直接、金属を蒸着させて巻き取ったタイプはMPコンデンサと呼ばれます(MP:メタライズドペーパーの略)。フィルムコンデンサはこれらの技術をベースとして、1930年代に開発されました。積層セラミックチップコンデンサとくらべて小型化に難がありますが、絶縁抵抗が高く、信頼性にすぐれ、家電機器や車載電子機器、産業機器、パワーエレクトロニクス機器などに使用されています。
フィルムコンデンサは、内部電極の形成法の違いにより箔電極型と蒸着電極型(金属化フィルム型)に大別され、構造の違いにより巻回型と積層型、誘導型・無誘導型などに分けられます。

フィルムコンデンサに使われる主な誘電体と特長

フィルムコンデンサの誘電体として、以下のようなプラスチックフィルムが使われます。PETを誘電体とするコンデンサは、デュポン社のPETフィルムの商品名マイラーより、マイラーコンデンサとも呼ばれます。スチコンと通称されるのは、ポリスチレン(スチロール樹脂)を誘電体とするフィルムコンデンサですが、現在はPPに置き換わって、ほとんど生産されていません。

誘電体別フィルムコンデンサの性能比較(概略)

誘電体の種類によって、フィルムコンデンサの性能は異なります。使用条件に見合ったタイプを選択する必要があります。

フィルムコンデンサの構造

●箔電極型フィルムコンデンサ

内部電極となる金属箔(Al、Sn、Cuなど)にプラスチックフィルムを重ねてロール状に巻き取った巻回型のフィルムコンデンサには、誘導型と無誘導型があります。誘導型は内部電極にリード線を付けて巻き取ったタイプ、無誘導型は端面にリード線あるいは端子電極を取り付けたタイプです。無誘導型は誘導型とくらべて、インダクタンス成分が小さくなり高周波特性にすぐれます。

●蒸着電極型(金属化フィルム型)

箔電極型のかわりに、プラスチックフィルムに金属(Al、Znなど)を蒸着させて内部電極を形成したタイプのフィルムコンデンサです。蒸着膜はきわめて薄いために、箔電極型とくらべて小型化が実現します。 蒸着金属型は端面に電極を取り付ける無誘導型ですが、工法的には巻回型と積層型があります。

フィルムコンデンサの製法

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