コンデンサ・ワールド

コンデンサの機能とそれぞれのコンデンサの役割は?

コンデンサの機能の第1は電気(電荷)を蓄えること。デジタルカメラや使いきりカメラのストロボは、バッテリから供給される電気をコンデンサが蓄え、瞬間的に高電圧にすることで発光しています。電子機器の電源部の平滑回路などでも、電気を蓄えるコンデンサの機能が欠かせません。

コンデンサには様々な役割のコンデンサ種類が存在する

電子回路を野球場にたとえれば、各種コンデンサがそれぞれの持ち味に応じたポジションを占めて活躍しています。かつての花形選手だったペーパーコンデンサはレギュラーからはずれていますが、マイカコンデンサのように今なお現役で活躍する古参のコンデンサもあります。

最も起用が多いのは積層セラミックチップコンデンサ。小型で信頼性が高く、どのポジションにも対応できる豊富な製品がラインナップされているからです。

目だって大柄な電解コンデンサは、頼もしい“ドカベン”タイプといえるでしょう。電荷をたっぷりと溜めこむ静電容量の大きさが特長で、デジタルカメラのストロボ発光などにも欠かせません。これはとくに放電コンデンサとも呼ばれます。

使いきりカメラに使われるコンデンサ

“使いきりカメラ”は環境を配慮した3R(リデュース・リユース・リサイクル)製品の優等生。そのストロボ発光にもコンデンサが利用されています。キセノンランプから強いストロボ閃光を出すには、数千Vもの高電圧が必要です。これを1.5Vの乾電池から生み出すために、カメラ内部にはコンパクトな電子回路が内蔵されています。

発光の仕組みは2段階で、まず1.5Vの直流電流を昇圧回路により200〜300V程度に高め、コンデンサに電荷を蓄えて待機します。この状態でシャッターボタンを押すと、蓄えられた電荷はトリガートランスのコイルに電流となって流れ、電圧はいっきに数千Vに高められてキセノンランプを発光させます(トリガーは“引き金”という意味)。

トリガー回路には積層セラミックチップコンデンサも使われています。大型・大容量のアルミ電解コンデンサと、小型・省スペースの積層セラミックチップコンデンサ(中高耐圧タイプ)の組み合わせが、ストロボ搭載の便利な使いきりカメラを実現させているのです。

大容量のアルミ電解コンデンサ

コンデンサは2枚の電極が向かい合った構造となっていて、蓄える電荷の容量すなわち静電容量(C)は、電極面積(S)が広いほど、また電極間距離(d)が狭いほど、そして電極の間にはさまれる誘電体(絶縁体)の比誘電率(εr)が高いほど大きくなります。

100μF(マイクロファラッド)以上の高容量コンデンサの主流はアルミ電解コンデンサです。このコンデンサは純度の高いアルミニウムの表面を化学的に粗面化し、陽極側の表面に誘電体となる薄い酸化皮膜を電気分解によって形成したもの。表面は粗面化されて微細な凹凸があるため電極面積を大きく確保でき、また酸化皮膜はごく薄いため、静電容量のきわめて大きなコンデンサが実現します。

ノートパソコンなどのモバイル機器では、アルミ電解コンデンサよりも小型・大容量化が可能で信頼性の高いタンタル電解コンデンサも利用されます(ただしタンタルは希少金属であるため高価なのが難点)。

誘電率がきわめて高い特殊なセラミック材料(誘電セラミックス)を用いたのがセラミックコンデンサです。空気の比誘電率は約1、フィルムコンデンサの各種プラスチックフィルムは2〜3、電解コンデンサの酸化皮膜は8〜10なのに対して、セラミック誘電体は、チタン酸バリウム系の高誘電率セラミック材料では実に約1000〜20000にも及びます。

このセラミック誘電材のシートと金属電極をサンドイッチ状に多数積層することで、小型ながら電解コンデンサ領域にも及ぶ大容量の積層セラミックチップコンデンサが製造されるのです。

電源回路で活躍する平滑用コンデンサ

電解コンデンサは電源部の平滑回路用としても使用されています。デジタルICやオペアンプといった電子回路のほとんどが直流電圧で駆動します。そのため、交流(AC)電源を取り込んでいる電子機器では、交流(AC)から一定電圧の直流(DC)に変換する電源回路を必要とします。デスクトップパソコンなどの据え置き機器には電源回路が内蔵されていて、ノートパソコンなどではACアダプタを用いて交流を直流に変換しています。 ACアダプタはトランスやダイオードなどにより電圧変換と整流を行っています。しかし、この段階ではまだ直流電流ではなくパルス状の脈流です。そこで、電解コンデンサに電荷を充放電させることで、脈流を平坦にならして電圧がほぼ一定な直流を得ていまます。家計にたとえていえば、収入が少ないときは、貯めておいた貯金を切り崩して、日々の暮らしを安定させるのと似ています。

携帯電話などのモバイル機器において、バッテリの直流電圧をIC駆動に必要な電圧に昇圧したり降圧したりするのがDC-DCコンバータの役割です。電解コンデンサは電荷をたっぷり蓄える大容量が持ち味ですが、図体が大きくなるのが難点です。このため、携帯電話などに搭載される小型DC-DCコンバータの平滑回路には、積層セラミックチップコンデンサが使われます。

誘電体の薄層化や数100層以上の多層化技術などにより、小型化と大容量化を達成、積層セラミックチップコンデンサの活躍領域は電解コンデンサにまで迫るほどの進化を遂げています。現在、世界のコンデンサ生産量の約80%が積層セラミックチップコンデンサ。エレクトロニクスを牽引する受動部品の陰の主役といわれるのも、納得いただけると思います。

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